偶然見つかった、代官山目切坂脇の坂(本)口
村尾嘉陵「江戸近郊道しるべ 巻之十三」より https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2577954/7 上方中央よりやや右の蛇行した水路が坂(本)口 |
に関する判決文は以下のとおり(【】内の数字は後補)。
行裁判明29・06・19行裁録16・117
三田用水内堀普通水利組合會不法決議取消ノ訴
原告 【0】目黒村上目黒927番地 吉永郡蔵
被告 同内堀会管理者 鏑木一郎
判決要旨
右原告吉永郡蔵ヨリ被告村長鏑木一郎ニ対スル三田用水内堀普通水利組合不法決議取消ノ訴原彼告雙方ノ弁論ヲ聴キ審理ヲ遂タル處
原告訴求ノ要旨ハ東京府荏原郡目黒村【01】三田用用水ノ分水字別所坂本分水路ハ澁谷村字鎗ケ崎第千百七十番地ヲ貫通シ馬引澤道路ニ沿ヒ目黒村田用水トナレリ抑【02-1】此宅地ハ朝倉倉藏ノ所有地ニシテ去明治二十二年七月十三日同人ト大庭宗兵衛トノ間ニ地所貸借ノ契約ヲ締結シ後【02-2】二十六年七月中原告ハ朝倉倉藏【02-3】ヨリ右地所ヲ受ケ叉公爵岩倉具定ハ上目黒第六十七番地ヲ元持主大庭宗兵衛ヨリ買受ケタリ然ルニ【03-1】二十六年九月中目黒村淺見貞二耶外一名ニ於デ擅ニ右【03-1】原告宅地内ニアル水路敷ヲ發掘シ巨大ノ竪樋ヲ設ケ水路ノ兩側ヲ廣ケ石ヲ畳ミ横樋ヲ伏セ込ミ蓋ヲ掩セ低地ヨリ高地ニ流通スル如ク改築シタル爲原告ハ家用水ノ便觀望ノ美即水ノ使用権ヲ失ヒ且樋ロヨリ溢流スルヲ以テ二十七年一月中原告ヨリ淺見貞二郎外一名及岩倉公爵ニ係リ東京地方裁判所ニ水路敷原形回復ノ訴ヲ提起シタリ然ルニ淺見貞二郎外一名ハ右所爲ヲ不道理ト考へタルカ同裁判所ノ第一口頭辯論期日ヲ變更シ三田用水内堀普通水利組合會ニ甲第三號證ノ如キ議案ヲ提出シ甲第一號證ノ決議ヲ變シタリ是畢竟淺見等カ甲第四號證ノ判決ノ執行ヲ免レントスルノ手段ニ外ユラス而シテ淺見等ハ甲第四號證ノ判決ニ對シ東京控訴院ニ控訴シタル處乙第一號證ノ判決ヲ與タルニ付原告ハ大審院ニ上告シタルニ同院ニテハ原判決ハ不法ナリトシテ差戻サレタル後未タ判決ニ接セス叉原告ハ同組合會ノ決議ヲ違法トシテ荏原郡長ニ訴願シタル處其目的ヲ達セサルニ付進ンテ東京府知事ニ訴願シタルニ同知事ハ本件ハ民事裁判ヲ經タルモノナリトノ理由ヲ以テ却下セラレタリ依テ分水ロノ變更ヲ執行シタル村長ヲ相手取リ本訴ヲ提起スルノ已ムヲ得サルニ至リタリ元來民事訴訟ノ目的ト本件訴訟ノ目的トハ別異ノモノナルニ東京府知事ニ於テ之ヲ混同シタル裁決ヲナシタルハ不法ナリ叉組合會ノ決議ハ不法ナり何トナレハ新工事ハ岩倉家ノ瀧水トナス爲淺見等カ一己ノ竟見ヲ以テ施設シタルモノナタルニ組合會ニテハ事後承諾ヲ與ヘタルモ事後承諾ハ特別ノ規定アルニ非サレハ爲シ得ヘキモノニアラサルノミナラス瀧水トナス爲ニ施設スルモ工事ノ如キハ田用水其他必要ノ工事ニアラサレハ組合ト雖之ヲ議決ヌルノ權能ナケレハナリ叉【04-1】舊水路ハ深四尺乃至五尺幅三尺乃至四尺アルヲ以テ道路ニ流溢スルノ虞ナク【04-2】數百年來變更シタルコトナカリシモ新水路ハ幅八九寸深一尺位ナルヲ以テ流水ノ汎溢スルノミナラス道路ノ幅ヲ減縮シ原告ノ用水權ヲ侵害シタリ且舊分水口ノ位置ハ流水力道路ノ側面ニ激スルノ虞ナキモノナレハ郡參事會ノ裁決ハ架空ニ斷定シタルモノナリ故ニ明治二十七年二月十三日三田用水内堀普通水利組合會ノ決議ヲ取消シ別所坂本口分水原形ニ回復スルヤウ判決アランコトヲ乞フト云フニ在リ
被告答辯ノ要旨ハ東京府荏原郡目黒村三田用水分水口下流ハ原告所有宅地ノ間ヲ貫通シ馬引澤道路ノ側面ニ沿ヒ目黒村田塲用水ニ供シ來リタルモノナリ然ルニ【05-1】目切坂道路開鑿トナルトキハ右用水ハ新道ノ側面ヲ激スルノ虞アリ從テ道路ノ破壊ヲ來スコト尠少ナリトセス是ニ於テカ明治二十七年三月十三日三田用水内堀普通水路組合會ニ於テ【05-2】右分水口ヲ四五間上手へ附替變更スルコトヲ三田用水普通水利組合會へ提出スル事ヲ議決シ其後普通水利組合會ノ議決ヲ經東京府廳ノ許可ヲ受ケ現在ノ分水ロヲ取付クルコトヽナリタルモノナリ原告ハ二十七年二月十三日ノ内堀會ハ淺見等カ民事訴訟ノ執行ヲ免レシメントシテ故ヲニ二十六年八月二十三日ノ決議ヲ變更シタルカ如ク申述スルモ二十六年八月二十三日ノ内堀會ヲ議事録ニ依ルモ明カナルカ如ク右決議ハ單ニ流水引入ノ件即従前ノ振合ヲ以テ流水ヲ岩倉家へ貸渡スコトヲ議央シタルモノニシテ二十七年二月十三日ノ内堀會ハ工事ノ事後承諾竝分水口附替ヲ議決シタルモノナレハ毫モ前決議ヲ變更シタルノ點ナキノミナラス二十六年八月二十三日ノ議事録ニヨレハ當村字目切坂道路開鑿ニ付テハ字板本口内堀分水工事中變更等有之模様ニ付假令何ヘ工事中變更相成候テモ異議無之哉本會ニ於テ決議シ置キ度云々トアリテニ十七年二月ニ至リ分水口附替ヲ議スルニ至リタルハ甲第三號證乙第二號證ノ如ク右道路ノ開鑿ヨリ生シタル必要ノエ事タルノ事實ヲ見ルニ足ル叉分水口附替ニ付内堀會ハ普通水利組合會ニ提議シ後者之ヲ議決シタルモノナレハ原告ハ宜シク分水口ニ關シテハ該組合會ノ管理者タル郡長ヲ相手取リ道路ニ關シテハ知事ヲ相手取ルヘク村長ヲ相手取ルヘキモノ二アラス叉坂本分水路ハ田塲灌漑ノ爲設ケタルモノナレハ田持ニアラサル原告ハ之カ使用ノ權利ナク觀望ノ美ノ如キハ恩恵タルニ過キサルナリ故ニ原告ノ請求ヲ排斥セラレタシト云フニ在リ
■判決の内容については…
ごくごく当たり前の理屈なので、論評する価値はないのですが、三田用水関係の資料としては
http://baumdorf.my.coocan.jp/KimuTaka/HalfMile/MitaBunsui18.htm
のとおり、「目の付け所満点」なのです。
行裁判明29・06・19行裁録16・117
三田用水内堀普通水利組合會不法決議取消ノ訴
原告 【0】目黒村上目黒927番地 吉永郡蔵
被告 同内堀会管理者 鏑木一郎
判決要旨
右原告吉永郡蔵ヨリ被告村長鏑木一郎ニ対スル三田用水内堀普通水利組合不法決議取消ノ訴原彼告雙方ノ弁論ヲ聴キ審理ヲ遂タル處
原告訴求ノ要旨ハ東京府荏原郡目黒村【01】三田用用水ノ分水字別所坂本分水路ハ澁谷村字鎗ケ崎第千百七十番地ヲ貫通シ馬引澤道路ニ沿ヒ目黒村田用水トナレリ抑【02-1】此宅地ハ朝倉倉藏ノ所有地ニシテ去明治二十二年七月十三日同人ト大庭宗兵衛トノ間ニ地所貸借ノ契約ヲ締結シ後【02-2】二十六年七月中原告ハ朝倉倉藏【02-3】ヨリ右地所ヲ受ケ叉公爵岩倉具定ハ上目黒第六十七番地ヲ元持主大庭宗兵衛ヨリ買受ケタリ然ルニ【03-1】二十六年九月中目黒村淺見貞二耶外一名ニ於デ擅ニ右【03-1】原告宅地内ニアル水路敷ヲ發掘シ巨大ノ竪樋ヲ設ケ水路ノ兩側ヲ廣ケ石ヲ畳ミ横樋ヲ伏セ込ミ蓋ヲ掩セ低地ヨリ高地ニ流通スル如ク改築シタル爲原告ハ家用水ノ便觀望ノ美即水ノ使用権ヲ失ヒ且樋ロヨリ溢流スルヲ以テ二十七年一月中原告ヨリ淺見貞二郎外一名及岩倉公爵ニ係リ東京地方裁判所ニ水路敷原形回復ノ訴ヲ提起シタリ然ルニ淺見貞二郎外一名ハ右所爲ヲ不道理ト考へタルカ同裁判所ノ第一口頭辯論期日ヲ變更シ三田用水内堀普通水利組合會ニ甲第三號證ノ如キ議案ヲ提出シ甲第一號證ノ決議ヲ變シタリ是畢竟淺見等カ甲第四號證ノ判決ノ執行ヲ免レントスルノ手段ニ外ユラス而シテ淺見等ハ甲第四號證ノ判決ニ對シ東京控訴院ニ控訴シタル處乙第一號證ノ判決ヲ與タルニ付原告ハ大審院ニ上告シタルニ同院ニテハ原判決ハ不法ナリトシテ差戻サレタル後未タ判決ニ接セス叉原告ハ同組合會ノ決議ヲ違法トシテ荏原郡長ニ訴願シタル處其目的ヲ達セサルニ付進ンテ東京府知事ニ訴願シタルニ同知事ハ本件ハ民事裁判ヲ經タルモノナリトノ理由ヲ以テ却下セラレタリ依テ分水ロノ變更ヲ執行シタル村長ヲ相手取リ本訴ヲ提起スルノ已ムヲ得サルニ至リタリ元來民事訴訟ノ目的ト本件訴訟ノ目的トハ別異ノモノナルニ東京府知事ニ於テ之ヲ混同シタル裁決ヲナシタルハ不法ナリ叉組合會ノ決議ハ不法ナり何トナレハ新工事ハ岩倉家ノ瀧水トナス爲淺見等カ一己ノ竟見ヲ以テ施設シタルモノナタルニ組合會ニテハ事後承諾ヲ與ヘタルモ事後承諾ハ特別ノ規定アルニ非サレハ爲シ得ヘキモノニアラサルノミナラス瀧水トナス爲ニ施設スルモ工事ノ如キハ田用水其他必要ノ工事ニアラサレハ組合ト雖之ヲ議決ヌルノ權能ナケレハナリ叉【04-1】舊水路ハ深四尺乃至五尺幅三尺乃至四尺アルヲ以テ道路ニ流溢スルノ虞ナク【04-2】數百年來變更シタルコトナカリシモ新水路ハ幅八九寸深一尺位ナルヲ以テ流水ノ汎溢スルノミナラス道路ノ幅ヲ減縮シ原告ノ用水權ヲ侵害シタリ且舊分水口ノ位置ハ流水力道路ノ側面ニ激スルノ虞ナキモノナレハ郡參事會ノ裁決ハ架空ニ斷定シタルモノナリ故ニ明治二十七年二月十三日三田用水内堀普通水利組合會ノ決議ヲ取消シ別所坂本口分水原形ニ回復スルヤウ判決アランコトヲ乞フト云フニ在リ
被告答辯ノ要旨ハ東京府荏原郡目黒村三田用水分水口下流ハ原告所有宅地ノ間ヲ貫通シ馬引澤道路ノ側面ニ沿ヒ目黒村田塲用水ニ供シ來リタルモノナリ然ルニ【05-1】目切坂道路開鑿トナルトキハ右用水ハ新道ノ側面ヲ激スルノ虞アリ從テ道路ノ破壊ヲ來スコト尠少ナリトセス是ニ於テカ明治二十七年三月十三日三田用水内堀普通水路組合會ニ於テ【05-2】右分水口ヲ四五間上手へ附替變更スルコトヲ三田用水普通水利組合會へ提出スル事ヲ議決シ其後普通水利組合會ノ議決ヲ經東京府廳ノ許可ヲ受ケ現在ノ分水ロヲ取付クルコトヽナリタルモノナリ原告ハ二十七年二月十三日ノ内堀會ハ淺見等カ民事訴訟ノ執行ヲ免レシメントシテ故ヲニ二十六年八月二十三日ノ決議ヲ變更シタルカ如ク申述スルモ二十六年八月二十三日ノ内堀會ヲ議事録ニ依ルモ明カナルカ如ク右決議ハ單ニ流水引入ノ件即従前ノ振合ヲ以テ流水ヲ岩倉家へ貸渡スコトヲ議央シタルモノニシテ二十七年二月十三日ノ内堀會ハ工事ノ事後承諾竝分水口附替ヲ議決シタルモノナレハ毫モ前決議ヲ變更シタルノ點ナキノミナラス二十六年八月二十三日ノ議事録ニヨレハ當村字目切坂道路開鑿ニ付テハ字板本口内堀分水工事中變更等有之模様ニ付假令何ヘ工事中變更相成候テモ異議無之哉本會ニ於テ決議シ置キ度云々トアリテニ十七年二月ニ至リ分水口附替ヲ議スルニ至リタルハ甲第三號證乙第二號證ノ如ク右道路ノ開鑿ヨリ生シタル必要ノエ事タルノ事實ヲ見ルニ足ル叉分水口附替ニ付内堀會ハ普通水利組合會ニ提議シ後者之ヲ議決シタルモノナレハ原告ハ宜シク分水口ニ關シテハ該組合會ノ管理者タル郡長ヲ相手取リ道路ニ關シテハ知事ヲ相手取ルヘク村長ヲ相手取ルヘキモノ二アラス叉坂本分水路ハ田塲灌漑ノ爲設ケタルモノナレハ田持ニアラサル原告ハ之カ使用ノ權利ナク觀望ノ美ノ如キハ恩恵タルニ過キサルナリ故ニ原告ノ請求ヲ排斥セラレタシト云フニ在リ
■判決の内容については…
ごくごく当たり前の理屈なので、論評する価値はないのですが、三田用水関係の資料としては
http://baumdorf.my.coocan.jp/KimuTaka/HalfMile/MitaBunsui18.htm
のとおり、「目の付け所満点」なのです。
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